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【レビュー】伝説のヘッドホン「ゼンハイザーHD414」昭和&平成バージョン、春のヘッドフォン祭2019会場で試聴可能に!

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現在のアラフォーより上の世代には、オーディオに詳しくない人でさえ
「あー、あの耳のところの黄色いヘッドホンね!昔見たな~」
と言われるほど、そのフォルムの認知度がきわめて高いヘッドホン、それが

SENNHEISER HD 414Sennheiser HD414 (original type)

Sennheiser HD414 (original type)

世界初の開放型ヘッドホンとしても有名な、このHD414のオリジナルモデルが発売されたのは1968年、なんと50年以上も前なんですね。そのヒストリーはゼンハイザージャパンのサイトにも記載されているので、ヘッドホンファンなら一度は読んでおきましょう。独ゼンハイザー本社にもオーディオ史にその名を遺す名機として、オリジナルモデルが保管されています(当ブログ記事参照)。また、今もワン&オンリーのヘッドホンとして、愛用されている方が多いようですね。
Sennheiser HD414 first model

Sennheiser HD414 first model (DIN type plug)

その後のHD414の歴史については、日本ではこちらこちらのサイトに詳しいのですが、今回用意したのは比較的中古でも入手が容易な「ゼンハイザー創立50周年記念モデル」として1995(平成6)年に復刻限定発売された

HD-414 Classic
SENNHEISER HD-414 Classi

それに1970年代後半から1980年代前半の昭和の時代にかけて日本でも発売され、その認知度を一気に押し上げた、通称

HD-414X
SENNHEISER HD-414X

の2つのバージョンを用意、比較してみました。

まず「昭和のHD-414」を見てみましょう。

「昭和のHD-414」こと、HD-414X。当時のモデルの特徴といえば、着脱式ケーブル部のL/Rの色分けが「赤/黒」ではなく「赤/黄」なところ。つまりこのモデル、ケーブルもオリジナルタイプです。長さは約3.0mで、ポータブルリスニングなど考えもしなかった時代、アンプなどから引っ張るにはこの程度の長さが必要です。
実はこのケーブル部、パーツとして現在でも販売しており入手可能(ただし「赤/黒」になり、プラグ部なども違います)、というより端子の形状は現在のHD650などと同じなので、今でも互換性があります。この辺が素晴らしいですね。
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また、イヤーカップ部のデザインがその後のものと違います。当時このモデルにはオリジナルと同様ホワイトモデルも当初は用意されており(上記オリジナルモデル参照)、またインピーダンスが32Ωと、今では考えられない2KΩ!という2つのバリエーションがありました。

32Ωモデルはイヤーカップ部トップの円周部に、イヤパッド(ホワイトモデルはブルー、ブラックモデルはイエロー)の色と同色の「縁取り」があることで区別がつきます。。ということで、今回のモデルはブラックの32Ωタイプ。当時はまだ東西ドイツが統一する前ですが、MADE IN GERMANYと書かれていて決してWEST GERMANYではありません。
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イヤパッドを外すと、ご覧の通り。基本フォルムは最初から最終モデルまでほぼ変わっていませんが、ドライバユニット部から3方向に伸びでいる「ギザ部分」でウレタン製イヤパッドをひっかけ、むやみに回転させないようにしてあります。最初期モデルにはこの「ギザ」がないそうなので、その点も判別方法になります。
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ケーブルは長さ3m以上、端子は6.3mmφ標準プラグです。この時代でリケーブル可能で、しかもケーブルが今でも入手できるのは、素晴らしいですね。しかも見た目は「HD414」そのもの。特にヘッドバンド部はそのスタイルにほとんど変化がなく、軽量化に大きく寄与しています。
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そのオリジナルケーブル。外してみると、こちらの端子部が金メッキされてます!
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ただし、このモデル、ヘッドホン端子が一般的なものに換装されちゃっている点が惜しい。おそらく断線もしくは接触不良があったのでしょうか、なにせ30年以上前のヘッドホンですから。。。
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ちなみに端子の本体側部分も、オールドモデルでは白色です。このユニットそのものが白色なのでしょうね。
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次は「平成のHD-414」を見てみましょう。

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1995(平成6)年生まれの、HD-414Classic。イヤーカップ部のデザインは、HD-4141X発売途中の時期からリニューアルされており、復刻版である414Claasicも、そのタイプとなっています。多くの方が昔見たのは、恐らくこちらのはずです。

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ユニット/エンクロージャー部。上のHD-414Xのそれの画像と比較して頂くと、ユニット部分そのものもブラックになっていますし、ディフューザー兼防塵カバー部のデザインも新しくなっていて、まるで違います。

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こちらは既に着脱式ケーブル部のL/Rの色分けが「赤/黒」。ケーブルはゼンハイザー独自の2way(標準/3.5mmステレオミニ)プラグタイプを採用。こちらもケーブル超は3.0m。もちろんリケーブル対応。
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こちらは外してみると、あれ、金メッキではない。。。というか、我々もこちらのほうが見慣れています。意外な部分で、旧モデルよりもコストダウン?されているというのを発見しました。
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ただしヘッドホン端子側は、初期モデルから変わらぬゼンハイザー独自の2ウェイプラグとなっています。こちらにお金がかかったので、見えなくなる端子側は安くしてバランスをとった・・・のかもしれませんね。
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なお、この1995年発売の復刻版モデルには、創立50周年記念という事もあってヘッドバンド上部に創始者ゼンハイザー博士の自筆署名が印刷されているため、容易に判別できます。
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写真ではわからない、両モデルの違い。 HD414C_006

ハウジング部の基本的なデザインと大きさは、どちらも変わりません。
ただし持ってみると、大きな違いが。昭和のモデルのほうが、明らかに重いのです。
これはHD414の歴史をたどるサイトでは漏れなく紹介されていますが、1981(昭和56)年頃にマイナーチェンジが行われて大幅な軽量化が果たされている、とのことですから今回手元にある「昭和」モデルはそれ以前、おそらくは1970年代発売の40年近く経過した個体と推測されます。
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ハウジングの大きさや形状はほぼ変化なしで、重量を大幅に軽量化できた要因としては、おそらく内蔵ダイナミック型ユニットのマグネットを変更したのではないかと考えられます。ハウジングにゼムクリップなどを着けてみても外部への磁束漏洩はほとんど感じられないので、初期モデルはアルニコまたは磁束漏洩低減措置を施したフェライト磁石を採用しており、マイナーチェンジ版からは1974年頃に発明されたサマリウムコバルト磁石を採用したのではないでしょうか。分解して見てみれば判別するのでしょうが、それはちょっと出来ませんので・・・
※現在ヘッドホンのダイナミック型ユニットで主流となっているネオジム磁石は、1984年に発明されました。HD-414系には、その後もネオジム磁石は使われたことが無いようです。

このあたりについては、内部構造が確認可能な個体をお持ちの方のレポートなどをお待ちしたいところですね。
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「昭和」HD-414Xと「平成」H-414Classic、比較実聴してみた。

同じシステムで、同一曲を比較試聴。上の写真の6.3mm-3.5mmアダプタはGRADO製です。

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SENNHEISER HD-414X x AK380 copper

【HD-414X 音質レビュー】

まず飛び込んでくるのは中域、明るく華やかなトーンで、ヴォーカル帯域の張り出しの強さが第一印象。この爽快さは密閉型ヘッドホンでは得難く、HD-414が従来のヘッドホンの音のイメージを覆し、幅広く支持されるようになった一番のストロングポイントではないかと思います。
音域レンジは俗にいう「カマボコ」タイプで、特徴的なのはボリュームを上げた時と下げた時の印象が違い、ボリュームをある程度上げる=パワーを突っ込むと全レンジが出てきて、「カマボコの丘の部分」が広がるのですが、ボリュームを落とし気味にすると、そのカマボコの丘部分が狭くなっていくというか、ボリュームに対するリニアリティが一定でない感が出ています。ただしボリュームを上げても、高音も低音も聴こえるがそれほど帯域が伸びている風ではなく、特に低域はベースの下からキックにかけての音域は明るい中域と比較して負け気味で、音自体もダンピングがしっかりと効いていない印象。いかにも1970年代、昭和(というのがあればですが)っぽい音質傾向です。イマドキのアニソンなどは、ちょっとキツいかな?しかし製造から40年近い時を経ている個体だけに、劣化部分が混じっている可能性があることは否めません。
意外なのは、ヘッドホンと耳の向きの関係が結構シビアで、ユニットの位置決めをしっかり行わないと低音自体が感じられなくなってしまいますし、音場の拡がり感も違ってきます。HD-414を聴いたことのある多くの人は、おそらく同様の印象を受けているのではないかと思いますが、きちんと装着すれば、低音自体は適当なレベルで聴こえてきます。
しかし、基本設計が50年以上前のヘッドホンとしては、今でも「聴ける」音質である、というのが凄い点です。定評のある着け心地は相変わらず良好、ヘッドホン史に燦然と輝く名機は現役を退いた今でも貴重な存在でした。人懐こいゴールデンレトリバー?のようなヘッドホン。

 

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SENNHEISER HD-414 Classic x AK380 copper

【HD-414 Classic 音質レビュー】

多分、そんなには変わらないだろうなぁ・・・という先入観を吹き飛ばしてくれるレンジの広さが最初から感じられます。全然違います。というか、これ現代のヘッドホンと比較しても引けは取りません。昭和モデルの弱点であったカマボコ的レンジの狭さは見事に解消され、低域は締まりながらもキッチリ基音が聴こえ、高域も昨今のハイレゾイヤホン程ではありませんが低域に負けないバランスの取れた音で鳴ります。ボリュームの大小によるリニアリティの差も、昭和モデルのようには感じません。
これまで見てきたとおり、ユニット自体もマグネットも?リファインされてきた「平成」モデルは、それでも製造後25年近くなるというのに今のレベルでも「良いヘッドホンだなぁ」と感じられるくらいのレベルを保っています。音質傾向の「明るく爽やか」はこちらも変わっておらず、聴いていて楽しくなりますね。
なお、こちらもイヤパッドと耳のフィッティングには気を使ってください。

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なお、HD-414用の黄色いスペアイヤパッドは現在でもスペアパーツとして販売されており(NO.019545)フジヤエービックでも購入可能です。これも素晴らしいことですね!

こ こ で お 知 ら せ 。

この2つのゼンハイザーHD-414、「春のヘッドフォン祭2019」で皆様に試聴して頂けるように致します!

「令和の音、聴いてみないか。」のキャッチフレーズの元、今回も多くの新製品がヘッドフォン祭でお披露目されますが、平成が終わろうとするタイミングで平成と昭和の音、というより20世紀の音、でしょうか?改めてご確認頂ければ、と思います。

MusicWith規格外

MusicWith規格外

今回、いつもヘッドフォン祭に「アマチュア同人代表?」として出展して頂いている

Music with 規格外

様にご協力を頂き、ブース(中野サンプラザ13Fロビー)にて、この2つのHD-414を展示・試聴して頂けることになりました。ご試聴の際はお気軽に声をお掛け下さい。ここは写真の通り、毎回アマチュアの方たちがヴィンテージヘッドホンなどを大量に持ち込んだり、自作ヘッドホン(!)を出したりと賑やかなブースなので、他にも懐かしすぎるヘッドホンなどの試聴が可能となっています。

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