このエントリーをはてなブックマークに追加

【ヘッドフォン祭アワード2019春】特別表彰は、平成のヘッドホンカルチャーをけん引し続けた「ソニーヘッドホン部門」に!レジェンドへのインタビューも。

ヘッドフォン祭アワード2019春

ようやく先日公開させて頂きました、見事グランプリに輝いた3モデル金賞銀賞銅賞)については、各社様へ訪問しトロフィーを授与させて頂きましたが
hpfaward_top2019s

今回は、この他に「殿堂入り」、特別表彰がもう一つございます!

特別表彰: SONY ヘッドホン部門 及び 投野耕治氏

理由:平成に花開いたヘッドホン・イヤホン文化を常にけん引し続けた、長年の功績に対して。
ヘッドフォン祭アワード特別賞

ソニーシティ大崎

ソニーシティ大崎

・・・ということで、フジヤエービックはソニーシティ大崎に行ってきました!お話を伺ったのは、春のヘッドフォン祭2019で開催したトークショウでも中野サンプラザのチャペルを満員にしたソニーの、いやワールドワイドレベルで「ヘッドフォン界のレジェンド」と呼んで差し支えない

sony_hpkai_2019s

投野耕治(なげの こうじ)氏 (Mr.Koji Nageno)

(ソニーホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ株式会社 V&S事業本部・商品設計部門・商品技術1部 シニア音響アーキテクト)
NAGENO_HPFES2019S_00

投野耕治(なげの こうじ)氏

投野耕治(なげの こうじ)氏

以前「ヘッドフォン祭アワード2017秋」で、ソニーNW-ZX300がグランプリ銀賞を獲得した際に通して頂いた、通称「ウォークマン・ルーム」にて、今回もお話を伺いました!ソニー 投野耕治氏

フジヤエービック(以下「フ」): 結構無茶ぶりで表彰させて頂く事になりましたが、まずは春のヘッドフォン祭でのトークショウご出演、誠にありがとうございました!

フ: 今回の表彰理由が「平成に花開いたヘッドホン・イヤホン文化を常にけん引し続けた、長年の功績に対して」ということで、平成のソニーヘッドホンに長年にわたり関わってこられた投野様に、この約30年の色々なお話を伺おうと思います。

ヘッドフォン祭アワード2019春

ヘッドフォン祭アワード2019春

ヘッドフォン祭アワード2019春

ヘッドフォン祭アワード2019春

ソニー投野氏(以下「ソ」): ははは。どんなことからお話ししましょうか。

フ: 投野様は昭和の頃からヘッドホン部門に携わってこられましたが、平成初期のモデルから順に取り上げてお話を伺いたいと思います。

ソ: ヘッドフォン祭の時にお話ししたことの繰り返しになる部分も多いですが、分かりました。

ヘッドホンのカンブリア紀爆発

ヘッドホンのカンブリア紀爆発

フ: まずは1989(平成元)年に発売され、当時としてはあまりにも突出した存在で、今も金字塔的モデルとして語り継がれるMDR-R10についてお伺いします。あの頃に、あんなモデルが誕生した背景はどのようなものだったでしょうか?SONY MDR-R10。定価は当時としては驚異的な360,000円

SONY MDR-R10。定価は当時としては驚異的な360,000円

ソ: 1979(昭和54)に初代ウォークマンTPS-L2が発売され、それに合わせて開発したMDR-3やCDの登場でデジタルサウンドへの対応を求められた当時のイヤホンのトップモデルMDR-E484などを世に出しましたが、

SONY TPS-L2 / MDR-3 / MDR-E484

ヘッドフォン祭トークショウに持ち込んで頂いた、SONY TPS-L2 / MDR-3 / MDR-E484

その当時は、ヘッドホンは世間では「オーディオアクセサリー」という認識をされていて、その市場も小さいものでした。その中で、ハイクラスオーディオコンポーネントとして認められるようなヘッドホンを作ろう、という事で開発に取り組んだモデルです。プロトタイプを故・菅野沖彦先生など、そうそうたる評論家の方々に聴いて頂き、MDR-R10を創り上げていきました。

フ: 菅野先生は、第1回のヘッドフォン祭にお越し頂いたんですよ!(その時の記事がこちら)なるほど、ヘッドフォンでも良い音がするものは立派に認めて下さる方だったのですね。

第1回ヘッドフォン祭(2008/4/17)にお越し頂き熱心に試聴される故・菅野沖彦氏。向かいは現オーディオライターの佐々木喜洋氏。

第1回ヘッドフォン祭(2008/4/17)にお越し頂き熱心に試聴される故・菅野沖彦氏。向かいは現オーディオライターの佐々木喜洋氏。

フ: 投野さんといえば「MDR-CD900STを創った」というのも有名なお話ですが、これもこの当時(1989年頃販売開始、1995年頃一般の方でも入手できるようになった。フジヤエービックでは1998年頃より販売している)の作品ですね。

MDR-CD900ST

MDR-CD900ST

フ: そして1990年代にも、数々の名モデルが生まれましたね。MDR-CD3000MDR-F1MDR-E888MDR-EX70SL など。

MDR-CD3000

MDR-CD3000

MDR-E888

MDR-E888

MDR-F1

MDR-F1

そして21世紀を迎え、いわゆるハイレゾ音源の先駆けとなるSACDの登場辺りが、ひとつのターニングポイントになったのかな、かと思いますが?

ソ: そうですね、それまでを平成ソニーヘッドホンの「第一世代」とすると、SACDに対応したモデルからが「第二世代」と呼べるものになったと思います。当時のトップモデルMDR-SA5000やあたりです。

SONY MDR-SA5000

SONY MDR-SA5000

SONY QUALIA 010 Q010-MDR1

SONY QUALIA 010 Q010-MDR1

フ: ただ、オーディオマニア的視線では、その後しばらくソニーのヘッドホン開発は、特に高級機に対して積極的ではなかったようにも感じましたが・・・?

ソ: びっくりするような高級機は出しませんでしたが、21世紀に入って「ユーザーの聴く音楽が変わってきている」ことへの対応をしっかりしよう、ということになりました。ヘッドフォンは、オーディオマニアだけでなく多くのユーザーが自分の聴きたい音楽のために使うものですからね。ダンスミュージックを聴くユーザーに向けた「XBシリーズ」の展開などは、「重低音への対応」を強く打ち出したモデルですね。技術的にも、70mm径というそれまでになかった大口径ダイナミック型ドライバを新開発しています。

フ: 今も全く色あせないデザインのMDR-XB1000などが、それですね。失礼ながら当社でも「タイヤホン」という名称が定着した?これもソニーらしさのあるモデルでした。ソニーさんは2011年頃よりヘッドフォン祭へ出展して頂き、この動画もその頃収録したものです。(当時)音響担当の松尾氏とデザイン担当の小宮山氏にご出演頂いています。

MDR-XB1000

MDR-XB1000

ソ: ソニーに代々受け継がれる「耳型職人」というのがありますが、私が二代目で松尾が五代目ですね。(笑)

フ: 松尾さんは今はテーラーメイドイヤホン「Just ear」を立ち上げていらっしゃいますね。ジャストイヤーさんも毎回ヘッドフォン祭にご出展頂いています。

Just ear

Just ear

フ: イヤホンといえば、ソニーさんはずっとダイナミック型を採用していたのが「ソニーがBAやるのか!」と業界が騒然とした、XBAシリーズの登場もインパクトがありました!

ソ: 他社さんからバランスドアーマチュアを採用したイヤホンが登場するようになり、このユニットを使う事で、これまでにない製品の展開が出来そうな可能性が見えてきました。
が、市販のBAユニットを組み込んであれこれやってみても、どうも出る音に満足できません。これはダイナミック型同様、BAユニットから自社で作らないと思い通りのものが出来ないな!と思っていた時、ソニーの生産技術専門家で旧知の石井さんという方と久しぶりに会ってこの相談をし、2008年からプロジェクトを開始しました。生産システムの新規立ち上げということで反対も多かったのですが、一からラインを立ち上げ、その後もBAユニットを自社生産しています。そこで生まれたのが、初代XBAシリーズです。

XBA-4

XBA-4 (4BA)

ソ: そんな頃に、「ソニーのヘッドホンつくりの原点に立ち返る」製品も出しました。ヘッドホンの本質とは、という点において全てにこだわって開発したモデルが、MDR-1Rです。ソニーヘッドホンの「第三世代」の最初のモデルといっても良いと思います。

MDR-1R

MDR-1R

フ: MDR-1Rは出た時に「ソニーヘッドホンの代表作になる!」と感じましたが、しばらくすると電車の中で女性も含めMDR-1シリーズヘッドホンを被っている姿をちょくちょく見かけるようになり、最初に受けた印象が間違いないと感じました。まさに「音楽を聴くためのヘッドホン」ですね。

ソ: ソニーには他のオーディオメーカーにはあまりない「強み」がありますが、それは「ソフトもハードもやっている」点です。MDR-CD900STが音楽を創る人達へのヘッドホンだとすれば、ソニー・ミュージックエンタテインメントとの協業で実現したMDR-1Rは、音楽を創る人の意図を再現する音質の上に、ポータブルオーディオが普及し聴く時間も長くなったコンスマー用としての快適な装着感や機能美としてのデザインをまとめて具現化したモデルです。

フ: MDR-1シリーズは改良を重ねながら現在のMDR-1AM2まで連綿と続いているシリーズ(当社ブログでその歴史をまとめてます)で、こういったたゆまぬ改良を続けてリファインしていけるのは、オリジナルが良いものだからなのでしょうね。

MDR-1AM2

MDR-1AM2

ソ: そして現在は、ハイレゾにしっかり対応し、ヘッドフォンリスニングにおいても最高の音体験を味わえることを目的とした“Signature Series”を展開し、徐々に製品を追加しています。

SONY Signature-series

SONY Signature-series

フ: オーディオファイルからすると、「これがソニーだよね!」と感涙の製品を、最近立て続けに出して頂いてうれしい限りです。ソニーさんが展開されている“FLAGSHIP LOUNGE”、イイですよね!
SONY FLAGSHIP LOUNGE
SONY FLAGSHIP LOUNGE

ソ: ユーザーの皆さんに、音楽制作者の意図をしっかり伝えた上で、楽しく感動できるように音楽を聴いていただきたい、というのが一貫した方針ですね。これは今後も変わらないと思います。

フ: なるほど。では、令和の時代にソニーの出す音とは、どのようなものになるのでしょうか?

ソ: これは、今はまだ言えないことが多いので・・・ですが、面白いものが今後の製品化に向けてスタンバイしているようなので、どうぞご期待ください。今後も音楽は変化していくと思っています、その中にはバーチャル系への取り組みもあるでしょうし、またみんながクリエイターになれるし、好きなものを簡単に選んでいけるボーダーレスな時代となり、その中にいて何かが爆発しそうなタイミングをとらえて提案し、牽引して行けるような「ソニーだから出来ることがある」点にこだわって、これからも皆さんにより良い製品をお届けしていきたいと考えています。
SONY_AWARD002

フ: 秋のヘッドフォン祭(2019年11月2日、3日開催予定)でも、大きな期待をしてお待ちしています!本日はご多忙な中、貴重なお話を頂きありがとうございました。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連する記事