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当店でも多くの販売実績を誇るミキサーのAllen & Heath Xoneシリーズ。ミキサーといえば、レコーディングスタジオや、ライブPAの方々をはじめ、昨今ではパーソナルユースのコンパクトな数ch程度のミキサーまで、幅広くラインナップされており、音楽制作やプロオーディオの分野において必須の機材として周知されています。
ただし、今回紹介するAllen & Heath Xoneシリーズのミキサーは、そういった音楽制作の用途ではなく、オーディオファンの方々に選定いただくことが多い傾向にあります。ミキサーがオーディオ用途に?その秘訣について、今回は掘り下げてみようと思います。

Allen & Heathとは?Xoneシリーズとは??
Allen & Heathは、イギリスを拠点とするコンソールメーカーで、近年では企業として英国女王賞をも受賞し、イギリスを代表する企業の一つとして認知されています。1969年に設立されたAllen & Heathは、70年代初頭にはピンクフロイドのライブコンソールとしてMOD 1が採用された実績をもち、当時からその高い技術力と信頼を獲得します。現在もAllen & Heathは、ライブコンソール、レコーディングコンソールを手掛けており、ヨーロッパの音楽シーンを中心とした全世界の多様なプロオーディオ環境にて愛用され続けています。

そのうちXoneシリーズは、Allen & Heath製品群の中で、”DJミキサー”のラインナップに位置するシリーズです。
すなわちXoneシリーズといえば、DJブースの中核を為すミキサーである。という解釈になります。実際にダンスミュージックが盛んなイギリスやヨーロッパ諸国をはじめとするナイトクラブシーンの多くにXoneシリーズが採用されており、ヨーロッパのダンスミュージックのリファレンスとなっている、といっても過言ではないでしょう。今回は2003年に登場し、数々の業界内アワードの受賞とロングセラーを記録し続け、2018年現時点においても現行品として販売されているXoneアナログミキサーの最高峰Xone:92について紹介してみたいと思います。

【 Allen&Heath Xone:92L 】
まずはXone:92の基本性能について解説します。
トップパネルの中心に供えられた4つのチャンネルフェーダー、これはリアパネルの入力端子から4つのRCAステレオソースを同時に入力させ、かつ各フェーダーを独立しての操作を可能としています。この入力ソースは、PHONOとLINEの切り替えを可能としているため、レコードのサウンドからCDやDVDデッキなどと接続して、操作することを可能としています。また、本体向かって左側に設けられた2フェーダー搭載のチャンネルは、マイク入力、TRSバランス入力に対応する、2つのステレオチャンネルが搭載されており、DJの用途としては十分な入力を扱える性能を持っています。

Xoneシリーズの音質性能は?
このように、4つの独立したフォノアンプ(切り替えによりラインにも対応)を搭載したXone:92は、レコードファンの心をくすぐるサウンド傾向がなされている、という声も多くあがっています。DJミキサーとしての性能ながらも、音楽産業の中心地のひとつであるイギリスにて、アナログレコードの処理に長けたミキサーを開発する。という観点でも、地理的な優位性も孕んでいるものと考えられます。
実際にレコードプレイヤーを接続して再生テストを行う限りでも、サウンドがよりパワフルに、臨場感あふれる傾向をもたらす性能であると一聴しただけでも感じ取れる性能は非常に魅力的です。

Xone:92をはじめとしたシリーズ共通仕様として、ユニバーサル電源に対応していることが挙げられます。一概に推奨はできかねるものの、イギリスで開発されるXoneシリーズは、やはり昇圧トランスを充ててレコード試聴を試すと、より顕著な効果を得ることができます。ある程度の音量下であれば、迫りくる迫力の低音。主張しすぎず、かつ存在感を伴う中域。そして耳なじみがよく、美しく響く高域。これらのサウンド傾向と、業務用ナイトクラブミキサーならではのXLRアウトプットを扱った当機でのオーディオ視聴は、確かに一聴するだけでも有意義なものと感じ取れます。これに加えて、DJミキサーではほぼ独占仕様となっている4バンドのイコライザー(EQ)。低域、低中域、高中域、高域、この4つに分けられたEQで微調整することによって、より環境やスピーカーに則したプリアンプとしてご活用いただけるものとなっています。

外観仕様、そしてサウンドチェックの結果、確かにDJ用途以外にもリスニングに扱える代物であることは、一度使用するだけでも判断ができる性能です。では実際に、Xone:92はどのような構造になっているか、技術的な仕様について少し探ってみましょう。
技術仕様については、代理店やメーカーサイトのマニュアル内に数値で公開されています。特筆すべきポイントとしては、
• ヘッドルーム +22dB /チャンネル
• 周波数特性 5Hz ~ 30kHz(+/-.05dB)
これらのポイントが挙げられるでしょう。ヘッドルーム +22dBについては、一般的なDJミキサーのスペックを大きく超える性能といっても過言ではないでしょう。クラシックなアナログソースから、最新のエレクトロチューンまで、幅広いソースに対しても寛容な入力仕様となっていることから、多様な音楽ジャンルに対応できる入力キャパを持っていることとも考えられます。また、周波数特性についても可聴範囲を超える5Hzから30kHzまでをフォローしている数値を公開していることから、DJ用途以外にオーディオの用途として扱える性能値であることが伺えます。この数値をもち、かつ複数の入力チャンネルが展開されているDJミキサーは、現存するモデルでも限りがあると考えられます。オーディオ視聴においては特に複数のプレイヤーを所有するユーザーのプリアンプ用途として扱うことの優位性が垣間見えますね。
また、特筆すべき点として、Xone:92の内部構造自体にも注目です。筐体のトルクス固定、複雑な基盤レイアウトの影響からご自身での解体は決してお勧めできませんが、その構造自体に秘訣がありそうです。各入力チャンネル、そしてこれらチャンネル基板のスレーブ、アウトプット、、、というようにセクションごとに基板(モジュール)が独立していることも音質に効果を与えるであろうと考えられます。ハイエンドなプロオーディオミキサーにも採用されるチャンネルごとに独立した基盤レイアウトは、その製造コストにも反映されるデメリットもありますが、音の分離、耐久性、性能にも表れる所以でもあり、一般的なコンシューマ向けミキサーにはほぼあり得ない特徴からも、開発チームのこだわりが感じられます。

これらのポイントを踏まえて、Allen & Heath Xoneシリーズがオーディオファンに対してのソリューションの一つとして認知される仕様としてあげられるでしょう。(ちなみにAllen & HeathブランドのXone以外のラインナップや、Xoneシリーズ一部の廉価モデルではこのような構造になっていないことがありますので、ご注意ください)
Allen & Heath Xone製品は新品、中古品、アウトレット品…当店で扱うラインナップにおいても入荷後の回転が非常に高い商品となっていますので、都度状況のページチェックをいただけますと幸いです。店頭にて展示しているケースもありますので、実際に状態や性能をご確認いただくことも可能ですし、お好みの周辺機器でのチェックも状況によりますが、ご体感いただけます。

余談:Allen & Heathも製造に携わり、かつXone:92の開発者であるAndy Jones氏のブランドである、Playdifferently MODEL 1も、Xone:92に近しい基板レイアウトがなされています。MODEL 1は英国で少数生産される、同系統製品の最高峰モデルで、最大出力+28dBのパワー、フォノアンプの性能に大きく関わる24V供給:最大50W消費、40kHzまで+0/-2dBの周波数特性など、Xone:92自体をも上回る性能を持っています。MODEL 1はその供給数、流通数の少なさからも、当店への入荷自体も稀な製品ですので、販売中の際は是非ご検討ください。
2018年、15年の時を経て、Xone:92のフォローアップモデルとなるXone:96が登場しました。Xone:92の基本性能に追加された機能、大きめに設計された筐体は、DJ、プロオーディオシーンに留まらず、オーディオファンの皆様からどのような評価を得られるモデルとなるか、、、期待です!

■ Allen&Heath XONE:series

制作:株式会社フジヤエービック
http://www.fujiya-avic.jp
レポート:フジヤエービック パート2 長谷川
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